左利きの子どもを持つ親御さんの中には、「左利きを矯正すると発達障害になるのではないか」と不安を抱く方もいるでしょう。
実際、左利きの矯正は発達障害との関連が指摘されることがあり、特に幼児期に無理に右利きへ直すリスクについて注目されています。
この記事では、まず「そもそも発達障害とは?」という基本から確認し、なぜ左利きと発達障害が関連づけられるのかを丁寧に解説していきます。
また、発達障害は左利きは多いのか、その割合や確率についても最新データを交えて紹介します。さらに、ハーバード大学による研究結果をもとに、脳発達との関係性にも踏み込んでいきます。
幼児期に利き手が定まらない場合に注意すべき点や、左利きを右利きに矯正されると学習障害になる可能性、さらには発達が遅いと感じたときの具体的な対処法についても解説します。万が一、発達障害として障害認定を受けるケースがあるのかという疑問にも触れていきます。
また、利き手矯正による後遺症が存在するのか、左利きは脳の発達に有利だと言われる根拠、日本で1番多い発達障害は何かといった情報もカバーしながら、左利きの子どもへの理解を深めます。
そして最後に、左利きだとどんな病気になりやすいのかという話題にも触れ、正しい知識と対応のヒントをお届けします。
左利きのお子さんの未来を明るく伸ばすために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
-
左利きを無理に矯正することが発達障害のリスクを高める可能性があること
-
左利きと発達障害の関連性や、割合・確率の実態が理解できること
-
利き手矯正による後遺症や学習障害のリスクについて知ることができること
-
左利きの脳の発達特性や、左利きに関係する病気リスクについて学べること
左利きを矯正するとどうなる?発達障害の関連性を解説
-
そもそも発達障害とは?基本を確認
-
左利きの子はなぜ発達障害と関係すると言われるのか
-
左利きと発達障害の割合・確率について
-
発達障害が左利きに多いと言われる理由を脳科学で探る
-
左利きと発達障害の関係:ハーバード大学の研究結果
-
利き手が定まらない・・発達障害との関連性はあるのか
そもそも発達障害とは?基本を確認
発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあり、日常生活や社会生活で特定の困難を抱える状態を指します。これは成長過程で自然に治るものではなく、一生を通して特性として付き合っていく必要があるものです。
このとき重要なのは、発達障害が「病気」ではなく「特性」であるという点です。一般的には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などに分類されます。
これらはいずれも、本人の努力不足によるものではなく、脳の発達過程に由来する違いだと考えられています。
例えば、ADHDの場合は集中力が続かなかったり、衝動的に行動してしまう傾向があります。一方で、ASDでは対人関係の築き方に独特のパターンが見られたり、こだわりの強さが特徴となることがあります。
このように言うとネガティブな印象を持つかもしれませんが、発達障害の特性が活かされる場面も多く存在します。例えば、独創的なアイデアを生み出したり、高い集中力を発揮するなど、一般的な枠に収まらない強みとなることもあります。
いずれにしても、発達障害を理解するためには、「できないこと」ではなく「得意不得意のバランス」を見る視点が大切になります。
左利きの子はなぜ発達障害と関係すると言われるのか
左利きの子どもが発達障害と関連付けられる背景には、脳の発達の仕組みが深く関わっています。
一般に、右利きの人は左脳が優位に働き、言語や論理的思考を司る機能が発達しやすい傾向にあります。
一方で、左利きの人は右脳が優位になりやすく、空間認知や直感的思考が得意になると言われています。
このとき、脳の左右のバランスが独特な発達を示す場合、言語の発達が遅れることがあるため、発達障害と関連付けられることがあるのです。特にADHDやASDの子どもたちは、言語やコミュニケーション面で困難を示しやすい傾向があります。

例えば、左利きの子が小学校低学年で文章作成に苦手意識を持ったり、指示を理解するのに時間がかかる場合、単なる個性ではなく、発達特性によるものかもしれません。(ちなみに、私もすごく苦手でした)
もちろん、左利きだからといって必ずしも発達障害があるわけではありませんが、脳の発達パターンに個性が出やすいという点で関連性が指摘されています。
こう考えると、単純に左利きだから心配する必要はありませんが、注意深く子どもの成長を見守ることは重要だと言えるでしょう。
左利きと発達障害の割合・確率について
左利きと発達障害の関連性について考える上で、割合や確率のデータも重要な視点となります。左利きの人は全体の約10%程度とされており、それだけでも比較的珍しい存在です。
そして、発達障害のある子どもの中に左利きの割合が高いという研究結果もいくつか報告されています。
例えば、一般的な左利きの割合が10%程度なのに対し、発達障害のある子どもについては、左利きがやや多い傾向が報告されています。
実際に一部の研究では、特定の発達障害の子どもにおける左利き率が15%前後と示されるケースもあります。このように、発達障害を持つ子どもの中には、左利きの傾向が少し強く現れる可能性があるのです。
一方で、左利きのすべての人が発達障害を持っているわけではありません。あくまで確率論として、発達障害のグループに左利きが少し強く含まれる傾向がある、というにとどまります。
こうした事実を踏まえると、左利きという特性そのものを不安視する必要はなく、必要に応じて専門的なアセスメントを受けることが適切です。
また、発達障害にもさまざまな種類があるため、左利きだからといって一括りに診断できるわけではない点にも注意が必要です。特定の傾向を参考にしながらも、一人ひとりの特性をきちんと見極めていく視点が求められます。
発達障害が左利きに多いと言われる理由を脳科学で探る
発達障害が左利きに多いと言われる背景には、脳科学の観点からいくつかの仮説があります。まず、人間の脳は右脳と左脳に分かれ、それぞれ異なる役割を担っていることが知られています。一般に、言語能力は左脳が、空間認識や直感的な処理は右脳が担当するとされています。
このため、多くの右利きの人は左脳優位に発達しやすい傾向にあります。一方で、左利きの人は右脳優位になるケースが多く、右脳と左脳の発達バランスが通常と異なることが分かっています。ここで重要なのは、発達障害の中には言語発達の遅れや空間認知の偏りが特徴的なものがあることです。
例えば、ADHDでは注意力の散漫さや衝動性、ASDでは対人関係の難しさやこだわりの強さが見られます。これらの特性は、脳の発達における左右のバランスの違いと関係している可能性が示唆されています。
さらに、脳梁(右脳と左脳をつなぐ神経の束)の発達が不十分な場合、左右の情報連携がうまくいかず、発達に特有の偏りが生まれやすいと考えられています。左利きの子どもはこの脳梁の発達に個人差が出やすく、それが発達障害と関連して見えるケースがあるのです。
このように言うと、左利きが問題のように思えるかもしれませんが、実際には「脳の発達パターンの違い」と捉えるべきでしょう。そして、左利きであること自体が障害の証拠になるわけではない点にも留意する必要があります。
左利きと発達障害の関係:ハーバード大学の研究結果
左利きと発達障害の関連については、ハーバード大学などによる脳科学の研究から興味深い結果が報告されています。こうした研究では、左利きと脳の発達の関係が詳しく調べられており、左利きの人には脳の働き方に少し違いがあることがわかってきました。
たとえば、左利きの人は右脳と左脳のつながりが比較的強く、両方の脳をバランスよく使う傾向があると言われています。このため、空間認識やひらめき力など、創造的な分野が得意になる場合もあります。
一方で、言語の発達については少し個性的なパターンを示すこともあります。通常、言語をつかさどる機能は左脳に集まっていますが、左利きの人では左右の脳に分かれていることがあり、この違いが言葉を覚えるスピードなどに影響する可能性があるのです。
このような特徴が、発達障害との関係を指摘される理由のひとつと考えられています。ただし、左利きであることが必ず発達障害につながるわけではなく、あくまで脳の発達の個性として捉えるのがよいでしょう。
また、左利きは一般人口において約10%にすぎませんが、発達障害と診断された子どもの中ではその割合が少し高い傾向があることも、先の通りのデータから示されています。
こうして見ると、左利きが発達障害の「原因」なのではなく、「発達パターンの違い」として現れた結果であることが理解できるでしょう。無理な矯正ではなく、個々の脳の発達に合わせた支援が必要だと考えられます。
利き手が定まらない・・発達障害との関連性はあるのか
幼児期に「利き手がなかなか定まらない」ことが気になる親御さんは少なくありません。この現象と発達障害との関連については、近年注目が集まっています。
本来、利き手の決定は生後1〜3歳頃に自然と進み、就学前にはある程度はっきりしてくるものです。しかし、発達障害の傾向を持つ子どもの中には、5歳を過ぎても利き手が明確に定まらないケースが見られます。
これは、脳の運動機能を司る部位の発達が一般的なパターンと異なっている可能性を示しています。例えば、ADHDの子どもは運動系の発達に偏りが見られることがあり、左右の手の使い分けに迷いが出ることがあります。また、自閉スペクトラム症(ASD)でも、体の動かし方や手の使い方に特徴的なパターンが表れることがあるのです。
一方で、単純に性格や個性の範囲で利き手が遅れて定まる場合もあります。このため、利き手の確定が遅い=必ず発達障害というわけではないことにも注意しなければなりません。
このように考えると、利き手が定まらない場合には、発達全体の様子を総合的に見ることが大切です。言葉の発達、運動能力、対人関係など、他の成長指標とあわせて慎重に観察し、必要があれば専門家に相談することが望ましいでしょう。
左利きを矯正すると発達障害?矯正のリスクについて考える
-
左利きを右利きに矯正されると学習障害になる?
-
左利きの子どもの発達が遅いと感じたときの注意点
-
障害認定されるケースはあるの?
-
利き手矯正による後遺症は存在する?
-
左利きは脳の発達に有利?最新研究
-
どんな病気になりやすい?そんなのあるの?
左利きを右利きに矯正されると学習障害になる?
左利きの子どもを無理に右利きに矯正すると、学習障害につながるリスクがあると指摘されています。
これは単なる一時的な混乱ではなく、脳の発達に直接影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
もともと、手の利きは脳の発達と深く関係しています。左利きの子どもは、右脳優位で情報処理を行うケースが多いのですが、無理に右手を使わせようとすると、脳内の情報処理ルートを無理に切り替えることになります。これが脳のネットワーク形成に混乱をもたらし、結果として読み書きの困難や認知処理の遅れが出る場合があるのです。
例えば、小学校に上がった際に、文字を覚える、文章を読解するなどの作業が極端に苦手になることがあります。特に「ディスレクシア(読字障害)」や「ディスグラフィア(書字障害)」など、学習障害として具体的な困難を抱えるリスクが高まると考えられています。
これを防ぐには、左利きの特性を尊重し、無理に矯正しないことが大切です。生活の不便を感じる場面があったとしても、個々のペースを尊重して成長を見守るアプローチが望まれます。
左利きの子どもの発達が遅いと感じたときの注意点
左利きの子どもに接していると、「もしかして発達が遅れているのでは」と不安になる親御さんも少なくありません。このとき重要なのは、焦らずに状況を冷静に見極めることです。
もともと左利きの子どもは、言語発達や作業速度において、右利きの子どもよりもややスローペースで成長することがあります。これは、脳の左右の役割分担や情報処理の仕組みが異なるためであり、必ずしも障害や異常を意味するわけではありません。
例えば、左利きの子どもが言葉を話し始める時期が周囲より遅かったり、鉛筆をうまく持てるようになるのに時間がかかったとしても、それ自体は個性の範囲内である可能性も高いです。しかし、言葉の理解に極端な遅れが見られたり、対人コミュニケーションが極端に苦手な場合は、発達障害のサインであることも考慮しなければなりません。

このようなときは、家庭内だけで判断せず、必要に応じて専門機関の発達検査を受けることをおすすめします。早期に特性を把握できれば、その子に合った支援や環境づくりができるため、成長に大きなプラスとなるでしょう。
障害認定されるケースはあるの?
左利きそのものが障害認定されることは基本的にありません。ただし、左利きに伴う特性の中で、発達障害が認められた場合には、障害として認定されるケースもあります。
発達障害には、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉スペクトラム症)、学習障害(LD)などがあり、これらが社会生活に大きな支障を及ぼしている場合には、医師の診断を受けた上で障害認定を受けることが可能です。例えば、読み書きや計算に著しい困難がある、あるいは対人関係が著しく苦手で社会適応が難しいといった場合です。
一方で、左利きという特性だけで障害認定を求めることはできません。たとえば、ハサミが使いづらい、机の配置が合わないといった日常的な不便さは、社会生活における「合理的配慮」で対応すべき範囲にとどまります。
このように考えると、障害認定を受けるかどうかは、単なる利き手の問題ではなく、全体的な発達特性と社会生活への影響度によって判断されるのだと理解しておくことが大切です。
利き手矯正による後遺症は存在する?
利き手を矯正することで後遺症が生じるケースは、実際に報告されています。特に幼少期に無理な矯正を行うと、脳の発達に悪影響を与え、長期的な困難を抱えることにつながる場合があるのです。
主な影響としては、書字障害(ディスグラフィア)、読字障害(ディスレクシア)といった学習面でのトラブルが挙げられます。
さらに、強いストレスを感じた子どもの中には、吃音(きつおん:言葉がつっかえる症状)が現れることもありました。
これは、脳が利き手に関連する運動制御と言語処理のバランスをうまく取れなくなるために起こると考えられています。
例えば、4歳から5歳の時期に「右手を使え」と強制され続けた子どもが、スムーズに文字を書けずに自信を失ったり、人前で話すことに強い緊張を覚えるようになるケースもあります。
このように、無理な矯正は表面的な行動の変化だけでなく、心理面や自己肯定感にも深刻な影響を与えることがあるのです。
これを防ぐには、まず子どもの自然な発達リズムを尊重し、必要以上の矯正を避けることが大切です。特に幼少期には、利き手を変えるよりも、個々の特性に合わせた支援や環境調整を重視するべきでしょう。
左利きは脳の発達に有利?最新研究
最近の脳科学研究では、左利きの人が脳の発達において有利な側面を持つことが明らかになりつつあります。これまで左利きは不便だと考えられてきましたが、現在ではその認識が大きく変わりつつあるのです。
最新の研究によると、左利きの人は右脳と左脳の間の連携が強く、両方の脳半球をバランスよく活用できる可能性があるとされています。このため、空間認知能力や創造的思考に優れているケースが多く見られます。例えば、数学や芸術分野で突出した才能を発揮する左利きの人が多いというデータも存在します。

また、ハーバード大学をはじめとする複数の研究機関が報告したところによれば、左利きの人は複雑な問題解決において、右利きの人よりも柔軟なアプローチを取りやすい傾向があるとのことです。これは、異なる脳領域を同時に活用する脳のネットワーク構造が関係していると考えられています。
このように言うと、左利きであることは一種の「脳のアドバンテージ」ともいえるでしょう。ただし、社会環境が右利き前提で作られているため、日常生活で小さな不便を感じることがある点には注意が必要です。適切なサポートを受ければ、左利きの特性を大きな強みに変えていくことが可能です。
どんな病気になりやすい?そんなのあるの?
左利きの人が特定の病気になりやすいという話を聞いたことがあるかもしれません。実際、いくつかの研究では左利きと病気リスクとの関連性が指摘されていますが、これも過度に心配する必要はありません。
例えば、統合失調症のリスクがわずかに高いという報告があります。これは、左利きに多い脳の左右非対称性の違いが影響している可能性があると考えられています。また、免疫系の問題や一部の自己免疫疾患にかかるリスクも若干高いというデータもあります。
一方で、パーキンソン病に関しては、左利きの人のほうがリスクが低いという報告もあり、一概に「左利き=病気になりやすい」と決めつけることはできません。さらに、これらのリスク差は非常に小さいため、日常生活において特別な対策を講じる必要があるわけではないと考えられています。
こうしてみると、左利きであること自体が重大な健康リスクを意味するわけではありません。むしろ、左利き特有の強みや能力を活かすために、ポジティブな視点で向き合うほうが、健やかな成長や自己実現につながるでしょう。
左利きを矯正すると発達障害リスクが高まる?全体まとめ
最後に、本記事の総括を箇条書きでまとめていきます。左利きのお子さんをお持ちの方は、無理せず矯正せず、子供の赴くままに成長を促してみてはどうでしょうか。(私の子供時代は、小学校の習字と硬筆が右手だったので完全に苦痛の日々でした・・)
-
発達障害は脳の特性によるもので治るものではない
-
発達障害は努力不足ではなく脳の発達パターンに由来する
-
左利きは右脳優位になりやすく空間認知が得意
-
左利きの脳発達が言語遅れと関連する場合がある
-
発達障害の子どもには左利きが多い傾向がある
-
発達障害児における左利きの割合は一般の2~3倍とされる
-
脳梁の発達が影響し左右の情報連携に個人差が出る
-
ハーバード大学は左利きと脳機能の独自性を指摘している
-
利き手が5歳以降も定まらない場合は注意が必要
-
無理な利き手矯正は学習障害を引き起こすリスクがある
-
左利きの発達の遅れは個性の場合もあり慎重な判断が必要
-
左利きのみで障害認定を受けることは基本的にない
-
利き手矯正は吃音や自己肯定感低下を招くことがある
-
左利きは右脳と左脳を広く使うため創造性に優れる
-
左利きと統合失調症リスクとの関係が指摘されている
他に読まれている記事です。